格安航空会社(LCC)バニラ・エア(千葉県成田市)が年度内に函館と成田、関西の各空港を結ぶ新規路線の開設を目指していることが8日、分かった。函館市が2017年度をめどに、国内線の新路線に対して着陸料軽減措置を新設することが判断材料の一つとなったとみられ、国際線の乗り継ぎ時間短縮など利便性向上が期待される。
同社の道内発着路線は、新千歳―成田で週約50往復運航。同区間を4000円程度で利用できる安さが売りで、国際線は関西と台湾を結ぶ路線のほか、成田を起点として香港、ベトナム(台湾経由)などに就航している。
就航地の拡大を目指す同社は、着陸料に対する自治体の支援策や旅客需要、運航ダイヤなど複合的な観点からエリアを検討しており、広報部は「函館も対象地域の一つ」としている。関係者によると、同社の担当者が10月中旬に函館市役所を訪れたといい、着陸料減免の見通しなどについて説明を受けたとみられる。
成田や関西など国内5空港は「混雑空港」として国土交通省から指定されており、1日当たりの離着陸の回数などが制限されている。このため、新規就航には国交相の認可が必要となるが、同省航空局航空事業課によると、同社の函館発着の新規2路線は就航に向けて最終調整に入っており、早ければ来年2月ごろから運航が可能になるという。
函館は、北海道新幹線開業で陸路を利用した海外客が増加を見せる一方、空港の国際線乗降客数は減少傾向が続いており、新規路線の就航で新たな需要の掘り起こしが期待される。函館空港ビルデングの水島良治社長は「成田への直行便が就航すると、国際線乗り継ぎの利便性が大幅に向上する。空港の利用客増加につながれば」と話している。(山田大輔)