JRグループなどによる大型観光企画「青森県・函館デスティネーションキャンペーン(青函DC)」が9月30日に閉幕し、JR函館駅などでは旅行客を見送るイベントが開かれた。期間中は青函圏をめぐる多数の旅行商品が発売され、中でも函館―大間間を結ぶフェリー「大函丸」を活用した新たな周遊ルートが人気を呼ぶなど、DCは一定の成果を挙げたと言えそうだ。関係者は手ごたえをつかむともに、効果の持続に向けた次の一手の準備を急いでいる。
青函DCは、JRグループと青森県、道南の11市町などが連携して7月から展開。北海道新幹線開業による時間短縮効果を生かし、津軽海峡圏の広域観光をPRしてきた。
「需要は想定以上」と話すのは、大函丸と新幹線を組み合わせた旅行商品を企画した阪急交通社(大阪)。東京を発着し、2泊3日で函館や大間、下北半島をめぐるツアーをDCに先駆けて4月から販売。8月までの利用客は約7000人に上るといい、「時にシニア層の人気が高く、満席となることも多かった」(広報部)とする。
同区間の航路を運航する津軽海峡フェリーによると、4~8月の利用者は前年同期と比べて9000人程度増えているといい、大函丸をツアーの行程に組み入れる旅行会社は、増加傾向にあるという。
DC事務局を務める青森県観光連盟の石川隆洋理事は「青函圏の新たな周遊ルートとして提案できたのは成果」とした上で「青函を一つの観光エリアとして発信する取り組みは道半ば。DCの後こそが大事だ」と気を引き締める。今後は、来年7~9月に予定する後継企画「アフターDC」に向けた準備を本格化させる考えだ。
青函DC最終日を迎えたこの日は、JR函館駅や新青森駅などでおもてなしイベントが開かれた。このうち、函館駅ではJR北海道函館支社の社員や函館湯の川温泉旅館協同組合、青森県の観光関係者など約20人が、JR函館駅内の連絡通路に立ち、旅行客らの出迎えや見送りを行った。
通行する観光客らに「ようこそ函館へ」「また来てください」などと声をかけながら、リンゴや北海道新幹線ラベルの水などを贈呈。思わぬプレゼントに旅行客は笑顔を見せていた。また、青函DCマスコットキャラクター「いくべぇ」や、ご当地キャラクターのイカール星人なども登場し、多くの人が記念写真を撮りながら函館での思い出を作っていた。(山田大輔、野口賢清)