函館市は30日、2023年度の観光入り込み客数が前年比16・2%増の528万6000人(推計値)だったと発表した。歴史的な円安を追い風に外国人観光客が増え、下期は同10・9%増の214万7000人の過去最高となり、数字を押し上げた。通年では、新型コロナウイルス禍前の19年度の98%まで回復、過去10年で3番目に多く、函館観光に力強さが戻ってきた。外国人宿泊客数も37万4000人で、前年の4・1倍と大きく伸びた。
通年の528万6000人は、北海道新幹線の開業効果が出た16年度の560万7000人、コロナ禍前の536万9000人に次ぐ高水準。
交通機関別でみると、乗用車などが同3・7%増の278万1000人(構成比52・6%)、鉄道が同40・1%増の125万8000人(同23・8%)、航空機が同21・3%増の79万7000人(同15・1%)、船舶が同44・9%増の44万9000人(同8・5%)。鉄道の伸びは、22年度がコロナ禍で密を避けるため車やバスに乗る人が多かったが、23年度はコロナ禍が明け鉄道需要が戻った。
道内外別の構成比は、道外客が60・4%、道内客が39・6%。宿泊客が59・2%、日帰り客が40・8%となり、割合が6対4の正常値になったとみている。
平均宿泊数は1・27泊で、前年の1・35泊より下がった。宿泊料金の割引など観光需要喚起策がなくなったことが要因。
海外客の割合は台湾が47・4%を占め、中国が11%、香港7・5%、シンガポールが6・9%、韓国が6・4%など。台湾の新興航空会社スターラックス航空が台北(桃園)―函館線を今年2月に開設したことや、香港航空(香港)の香港―函館線も昨年12月~今年2月に就航したことなどがプラスに働いた。円安を背景に香港、シンガポール、米国客は過去最多を記録した。
市観光企画課は「今年度は『名探偵コナン』の映画効果が出ており、夏休みには、さらに観光客やファンが函館を訪れるとみられる。函館港へのクルーズ船の寄港も過去最多の見込みで、外国人客が増加する。今後は円安の動向や、物価高の影響を注視したい」としている。(山崎大和)