函館豆腐油揚組合(工藤英洋理事長、加盟7社)は23、24の両日、地元豆腐店活性化プロジェクト「To Future(トウフューチャー)」で、自ら育て収穫した大豆を使った「福豆豆腐」を限定販売する。豆腐店経営者らが、大豆栽培から豆腐の製造・販売までを一貫で手掛け、高級感を出し豆腐業界活性化を狙う。
函館市豊原町の畑で、高級大豆「鶴の子大豆」を有機栽培で生産、63キロを豆腐作りに使う。種まきは昨年5月、収穫は同10月に行った。天候不順の影響や人手不足で草取りが間に合わなかったこともあって、初年度の収量は目標の150キロに届かなかった。
福豆豆腐を製造するのは、七飯町の日乃出食品、勝田とうふ店、函館市の佐藤豆腐店、佐々木豆腐店、寺本豆腐店の5社。各店のオリジナル製法で作った寄せ豆腐を、福豆豆腐という名称で「はこだてフードフェスタ2019」(実行委主催)=函館アリーナ=で限定販売。マルシェブースに出展し、1個350円(税込み)で、スーパーで買う寄せ豆腐に比べ1・5~2倍の価格帯とする。全量を1日で売り切らず、2日間とも販売する考え。店によってにがりの種類が違ったり、豆腐の硬さで個性が出たりするという。
当初は白い豆腐を節分・立春に食べると、邪気を払い、幸福を呼び込むとされることから、3日の節分、4日の立春に合わせ各店で販売する予定だったが、今回は集客力の高いイベントでの販売を決めた。
1960年をピークに全国に5万軒あった豆腐店は、大手スーパーの進出や後継者不足による廃業が相次ぎ、現在は8000軒程度まで減少。組合加盟7社も、ほとんどが個人店で経営は厳しい。
豆腐店減少に伴う豆腐文化の衰退に危機感を抱いた工藤理事長(44)=日乃出食品社長=を中心に、地元の希少な大豆を使った豆腐作りを考案。豆腐店がタッグを組んで実現した全国的にも珍しい試みだ。
工藤理事長は「節分・立春には豆腐を食べる風習がある。専門店には、おいしい豆腐があるので、ぜひ足を運んでほしい。プロジェクト2年目は、各店に買いに来てもらう仕組みにしたい」と意気込んでいる。(山崎大和)