函館市弥生町3の菓子店「アンジェリックヴォヤージュ」の大濱史生代表(46)がこのほど、「行列のできる奇跡のケーキ屋さん」(発行・信長出版、発売・サンクチュアリ出版)を出版した。資金ゼロから人気店として成功するまでの苦労話や失敗談などを盛り込んだ内容で「お金をかけずに独立する方法」のノウハウを解説している。
大濱代表は2008年12月、資金約20万円で店をオープン。業務用のショーケースやオーブンの購入はさらに費用がかかるため、冷凍庫とミキサーがあればできるスイーツ「ショコラ・ヴォヤージュ」を開発し、こだわり抜いた1品のみを販売することを決めた。昼間は菓子店でアルバイトに励む傍ら、空いた時間を使って商品の製造にいそしんだ。店頭販売は行わず、妻の奈津子さん(38)が観光地で試食販売をすることから始め、約3カ月後には口コミで人気が広がり、製造に追われるようになったエピソードなどをつづっている。
「1冊の本で僕の人生が変わったのがきっかけで、前から本を出したかった」という大濱代表。「今あるものだけで目の前の人を喜ばせることができる。シンプルで簡単なことだということを伝えたい」と力を込める。
本は、商品の誕生秘話や店のつくり方マニュアルなど全5章から構成。「記憶に残る商品を提供する」や「トレンドを意識しない」など、行列ができる8つの秘密を明かしている。大濱代表は「ケーキ屋に限らずこれから独立を考えている人、ケーキ屋に憧れている人、これから起業する人などいろいろな人に読んでほしい」と話している。
191ページ、1400円(税別)。市内の書店で販売している。店頭にない場合は書店で注文を受け付ける。(木村京子)