【森】渡島信用金庫(伊藤新吉理事長)は24日、創業110周年を記念し、ATM(現金自動預払機)搭載車両「おしま信金号」の稼働を開始した。道内に本店を置く信金としては初の試みとなる。
同車両は、高齢者や移動手段が限られている顧客から「店舗やATMまで行けない」「スマホ通帳やインターネットバンキングは難しい」との声を受け、3年前から導入を検討。車両改造やネットワークの課題をクリアしたことで、創業110周年に合わせて本格稼働を決めた。
車両はワゴン車を改造し、車内にコンパクトなモジュール型のATMを搭載。入出金や振り込み、残高照会など、通常のATMと同様に利用できる。高齢者でも利用しやすいよう、いすに座りながら操作できるほか、ステップと手すりも設置。運行の際には職員2人が乗車し、操作のサポートや振り込め詐欺被害防止に努める。
また、8時間対応のバッテリーを常備しており、災害や停電などで同信金の店舗やATMが利用できなくなった場合にも同車両を活用することが可能。他の金融機関で同様の事態になった場合にも該当する地域へ派遣する。
運行地区については、今年1月に南茅部支店を鹿部支店に統合したため、当面は毎週月、木曜日に函館市南茅部地区の会館で稼働する。今後、北斗市の大野地区やせたな町でも運行する予定で、要望があれば対象地区の自宅への訪問も検討している。
伊藤理事長は「高齢者を中心に気軽に利用してほしい。今後も地域の目線に合った金融機関を目指していきたい」と話している。(北川隼夢)