函館法人会青年部会(小澤紀代部会長)は、160年前の幕末期に函館で誕生した焼き物「箱館焼」の復活を目指している。23日にサンリフレ函館で開いた月例会では、市立函館博物館の学芸員・佐藤智雄さんと美原5の「陶栄窯」主宰の高村智さんを招いた勉強会を行い、部会員ら36人が箱館焼の成り立ちなどを学んだ。
佐藤学芸員によると、函館開港を契機に徳川幕府が新たな蝦夷地の産物を生み出そうと、岐阜県から陶芸家の足立岩次を招いて箱館焼の生産を開始。しかし、初めての土地での挑戦は失敗続きで、さらに箱館戦争で岩次は函館を去ることになり、現在全国でも80点程度しか残っていないという。
講演で佐藤学芸員は「岩次は現在のお金で4億8000万円の損失を出したが、その後は新たな地で電柱に使われる碍子(がいし)を作り、大成功を収めた」とし、「それだけの力がある人が作った箱館焼は骨董としても超一流。岩次の挑戦は開国したばかりの日本が新しい時代に向かって歩き出そうとした証(あかし)と言えるだろう」と述べた。
また、20年ほど前から箱館焼の制作を続けている高村さんが講師となり、ビアカップ作りに挑戦。参加者は手ろくろなどを使って粘土を延ばし、自由な発想で陶芸を楽しんだ。
小澤部会長は「箱館焼の挑戦の話は私たちが壁に突き当たった時にそれを乗り越えるヒントになると思っている。今後も両講師らの協力を得ながら、箱館焼を多くの人に知ってもらう活動を続けていきたい」と話している。(金子真人)