函館市内にある青果物、水産物を取り扱う両卸売市場で5日、新年恒例の初競りがそれぞれ行われた。新幹線時代の波に乗り、地域での消費と取り扱いの拡大を願う関係者の威勢のいい掛け声が、新春の市場に響き渡った。(蝦名達也、今井正一)
○…函館市水産物地方卸売市場(豊川町27)では卸売業者や仲卸人ら約300人が集まり、午前7時から「初売り式」を行った。
開設者を代表し、工藤寿樹函館市長が「消費者のライフスタイルの変化や人口減少などさまざまな課題はあるが、今後も販路拡大、交流人口の拡大に取り組む必要がある」とし、国内外でのセールスに注力することを強調。北海道新幹線開業によって函館への注目度が高まることに期待し「多くの観光客を受け入れ、地元産品の有効活用を図りたい」と述べた。
卸売業者、函館魚市場の松山征史社長は「卸売市場の現状から大幅な売り上げ拡大は困難だが、安全な水産物を安定的に供給することを使命とし、一丸となって一層の努力をしたい」と抱負を語った。
式後は初競りが行われ、競り人の威勢のいい声が市場内に響き渡った。この日の入荷量は4日の海上が穏やかだったことから、昨年と同程度の約20トン。マダラが約10トンと最も多く、ババガレイやスルメイカの水揚げもあった。
○…函館市青果物地方卸売市場(西桔梗町589)では午前6時40分から「初せり式」を実施。函館巴太鼓による景気づけの太鼓が響く中、関係者が1年の活況を祈願した。
片岡格副市長は「新幹線開業は地域の消費拡大、経済発展に寄与する。函館の魅力を支えているのが食。青果物市場は道南への供給はもちろん、大勢の人に新鮮な青果物を届ける拠点として欠かせない」とあいさつ。市場関係者を代表し、東一函館青果の木戸浦静男社長は「農業や食品産業への影響が避けられないTPP(環太平洋経済連携協定)や消費税増税時の軽減税率導入に業界としてどう対応していくかなど、課題に全力で取り組み、市場活性化に努めたい」と抱負を述べた。
続いて、丸果函館合同青果の勝木敏孝社長の発声で三本締めし、今年の競りがスタートした。初日の入荷量は野菜が51・5トン、果実は15トンで、ほぼ例年並みだった。