函館市石川町の大型複合施設、函館蔦屋書店(梅谷知宏社長)が2013年12月の開店から今月で5周年を迎える。書籍販売とレンタル(DVDなど)、カフェや物販店などが入る商業施設の枠にとどまらず、常時さまざまなイベントが行われる。特に週末は混雑が続き、函館圏域には欠かせない多世代が集うコミュニティー空間となっている。
同社は「カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)」(東京)の子会社として設立。店舗は2013年12月3日にプレオープンし、同5日にグランドオープンした。開店以来、早朝午前7時から翌深夜午前1時まで、営業時間中は客足が途絶えることがない。「スターバックス」、輸入食料品店「カルディコーヒーファーム」といった集客力の高い店舗も人気だ。
同社取締役の丸山明さん(34)は「『本屋が厳しい』と言われることに反して、売り上げも伸びて成長しており、支持されていると実感している。何かを買いに来る目的ではなく、空間や時間を楽しみに来店される方が多い」と話す。
集客の一端を担うのは店内各スペースで毎月120~130回ほど行われているイベントだ。市民からの持ち込み企画も多く、蔦屋書店の空間を使ってこんなことをやってみたいといった提案は、イベント・コミュニティー担当の前川未来さん(35)と濱野奨也さん(23)が実現に向けてサポート。道南の海や川の生き物を展示する「ジオラマアクアリウム」、食事も楽しむ交流イベント「『今度ごはん行きましょう。』の会」、生産者のトークイベント「道南のつくり手たち」など、2人が地域で関わりを持った人たちと新たな企画も生まれている。
丸山さんは「『蔦屋に行くといつも何かやっているよね』とようやく言われるようになった。函館蔦屋書店は店舗ができてゴールの商業施設ではない。これからも止まることなく変化を続けていく」と話している。
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5周年を記念し、1~3日は、一部店舗を除きTポイントが10倍などのキャンペーンを展開。2階ステージでは、祝いのジャンベ(アフリカン太鼓)&ダンス(1日午後4時)、響雅楽会演奏会(2日午後3時)、弦楽器四重奏(3日午後1時半)、ジャズライブ(同午後7、8時)のライブを開催。1、2の両日はさまざまなクラフトワークショップなどもある。(今井正一)