海外で働いている長女がやっと休暇をとって帰国したが、都内で2週間も隔離。北海道の自宅滞在は短いものになった。だが高齢の母ともども久しぶりの時間を楽しんだ。好きなものを食べさせたいのが親である。お寿司、ラーメン、カレーと、幼い頃と変わらないリクエストに応えていると、「やっぱりお野菜だわね」と言われてハッとした。おやすい御用である。
日本ほど野菜がおいしい国はないかもしれない。生食でよし、焼いてよし、蒸してよし。おいしい塩とオイルさえあれば、それぞれの本来の味が堪能できる。野菜は季節感を確かに伝えてくれる。日本料理の主役は野菜ではないだろうか。
近年、食べる順番の重要性が注目されている。食事の際、まず野菜を食べると、次に肉や魚を食べても血糖値の上昇が緩やかになる。ご飯などの炭水化物は最後に食べるのが理想のようだ。空腹の時、ご飯より先にまず野菜をたくさん食べなさいというのは酷な話だが、できるだけ食べる順番を意識したい。ウイルス騒ぎのため、自宅で過ごす時間が増えた今、当然、わが家も食事時間が長くなった。だからと言って複雑な料理を作るわけではない。両手いっぱいの野菜を先に、次に片手サイズのタンパク質を、炭水化物はあとから食べようと意識するようにした。
夫は減量に成功し、私は体調がかなりよくなった。北海道の野菜はおいしいだけではない。種類の多さもさることながら実に美しい。道産食材としての野菜のチカラに大いに注目したい。(生活デザイナー)