非常勤で教えている大学で環境学と北海道の自然に関する講義を担当している。毎回テーマに合った資料を画面で見せながら授業を進めているのだが、最近は新聞も使っている。昨年の北海道の大地震を振り返った記事のコピーを渡し、その感想を書く宿題を出したところ、皆予想以上に真剣に読み、深く考えてくれた。今回の想像を超える猛烈な台風についても、その原因や対応策などを、新聞を資料にして学生たちと考えている。
最近の若者は携帯電話に夢中でテレビも昔ほど見ないようだ。新聞となるともっと縁遠いのではないかと嘆く大人も多い。だが新聞に触れる機会が少なくなっただけだと思う。新聞の面白さを知らないだけだ。切り取った記事の隣の記事に興味を示したり、裏面の記事を面白がったり、学生たちの目は輝く。
なんでもネットで検索する時代、欲しい情報や知りたいことはピンポイントで調べることができる。無駄のない合理的な方法である。私も頻繁に利用している。だが新聞には全く別の魅力がある。欲しい情報にたどり着くまでの「寄り道」がおもしろい。知らなかった情報を得たり、面白い広告に出会うことも多々ある。知識は確実に豊かになる。大きな紙を広げるのも、ページをめくる感覚も楽しい。
連載を書かせていただいているから言うのではないが、新聞は貴重なメディアなのだと改めて思う。若者が手にしたくなる何か新しい仕掛けさえがあれば、新聞の未来は明るいはずだ。期待したい。(生活デザイナー)