函館市は、世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産、垣ノ島、大船の両遺跡などを半日間で見学する観光バス「はこだて縄文ライナー」の実証実験を行っている。8月11日から週末を中心に運行し、16日までに全12回のうち7回が終了。観光客の利用比率が高く、満足度も高いツアーとなっている。
市中心部からのアクセス向上と新たな着地型観光メニューの創設、南茅部地区の振興につなげる取り組みで、半日間で効率よく巡るコースを設定した。
バスは午前8時20~40分に函館駅前など市内3カ所から乗車可能。同センターと垣ノ島、大船両遺跡を解説付きで巡り、地域の飲食店(選択制、参加店は催行日によって異なる)で昼食。コンブ製品を扱う南かやべ漁協直販加工センターに立ち寄り、午後2時ごろに函館駅に着く。
16日は17人が参加。同センター前で降車後、垣ノ島遺跡を紹介した道南歴史文化振興財団職員の佐藤雅俊さん(65)は縄文人の死生観や食生活などに触れ、太古の世界へと誘導。「盛り土遺構は国内最大の縄文遺構。食べたものを自然へと還し、命の再生を願った場所」と話し、〝パワースポット〟として人気があることも紹介した。
また、9日までの前半6回分のアンケートでは計61人が回答。居住地は関東29人を含む道外が35人、市内17人、道内9人で、48人が縄文遺跡群を初めて訪れた。同センターの評価は「非常に満足」36人、「満足」24人。垣ノ島、大船両遺跡も「非常に満足」37人、満足20人と好評価だった。感想では、解説に対する満足度は高いが、見学時間にゆとりがほしいとする意見も目立った。レンタカーで向かう予定を変更した人もいて、バスツアーの潜在需要もうかがえる。
市南茅部支所産業建設課の長谷山裕一課長は「事前PRが不足していたにもかかわらず、ターゲットとした市外の人に届いており、多くの人に利用いただいている」と話している。
残る運行日は23、30日、10月1、7、8日。1人5000円(見学料、昼食代込み、コンブ製品付き)。前日までの予約か空席があれば当日の乗車も可能。問い合わせ、予約は函館バス(0138・22・3265)へ。(今井正一)