最需要期を迎えた道南スルメイカ漁が不振だ。函館市水産物地方卸売市場での7月の生鮮スルメイカ取扱量は前年比54%減の282トン、解禁後2カ月間(6、7月)の累計でも41%減の460トンと低調。8月に入っても漁模様は好転せず、漁期前半(北上期)の不漁はほぼ確実な情勢だ。
市農林水産部よると、7月取扱量は極端に少なかった14年7月(304トン)をさらに下回る282トン。平均単価は前年より210円高い1キロ当たり550円となり、05年以降で最高。取扱金額は25%減の1億5511万円となった。
取扱量は6、7月の累計でも不漁だった14年6、7月(463トン)と同程度の460トン。単価は前年比176円高の536円。金額は12%減の2億4640万円。同部は「観光客の入り込みが堅調で、旺盛な需要に支えられて単価が上昇した」とみている。
函館市中島廉売内の紺地鮮魚(紺地慶一社長)は5日、いけすイカ1キロ(4、5匹)1500円で販売。例年ならこの時期1キロ1000円前後だが、量が少ない状況で単価高での推移となっている。紺地社長(54)は「函館を除く道南はお盆休みに出漁しないので、今後もう一段価格が上がる可能性がある」と話している。
道総研函館水試の澤村正幸研究主査は、不漁の要因について「今季は日本海の北上群が津軽海峡を通って太平洋に抜けなかった。また、7月後半以降、漁獲の中心となる太平洋側の群れが、沖合の水温が高くて沖を通って道東方面に直接回遊してしまった。さらに、資源量も減少傾向にある」と指摘。「秋イカ(道東からの南下群)の漁獲でどれだけ盛り返せるかが今季の漁況を左右する」としている。(山崎大和)