渡島総合振興局は28日、2019年の渡島管内における漁業生産高(速報値、八雲町熊石地区を除く)を発表した。噴火湾での養殖ホタテの大量へい死やスルメイカの不漁が影響したことなどから、数量は前年比25%減の9万1000トン。金額は同38%減の276億円で、数量ベースでは統計を始めた1958年以降、65年の8万6405トンに続き、2番目に低い年となる見込みだ。
主要魚種のうち、数量・金額ともに最も減少したホタテは、数量が同61%減の2万3337トン、金額は同64%減の66億円。「18年に起きたホタテの養殖貝の大量へい死により、ホタテの養殖に取り組む管内6漁協すべてで3、4割ほど生産が落ち込んだ」(水産課)という。
このほか不漁が続くスルメイカは18年と同じく生鮮に加え、中型船による冷凍スルメイカの水揚げが大きく減少したことで、数量は同57%減の2621トン、金額は同47%減の19億円となる見込み。コンブは天然コンブの減産が続いていることから、数量が同3%減の4487トン、金額は同11%減の72億円と低水準にとどまっている。
一方でブリは依然として好調が続いており、数量は同31%増の6607トン、金額は同17%減の10億円。「漁獲数量は前年を上回ったが、小型魚が中心で単価安だった」とする。サバは数量が約4倍の1万7805トン、金額が5倍の5億円。「11月下旬から12月上旬にかけて、南茅部地区を中心とする定置網に漁獲があったが、この勢いが今後も続くかはわからない」という。水産課の大島淳一課長は「引き続き漁獲が好調なブリを代替魚種とした商品開発支援や、地産地消促進などに取り組んでいく」としている。(野口賢清)