北大北方生物圏フィールド科学センターの三谷曜子准教授研究室に所属する北大水産学部4年の櫻木雄太さん(21)は、函館市国際水産・海洋総合研究センターの大型実験水槽で「格子網に対するサケの行動観察実験」に取り組んでいる。定置網へのゼニガタアザラシの入網を阻止する手法として、金庫網(魚が一番最後にたどり着く場所)の入り口に魚が通り抜けられる「格子網」を取り付け、網目の適切なサイズや色を調べており、被害対策に役立てたい考えだ。
襟裳岬近海では、ゼニガタアザラシがサケを捕獲する漁業被害が相次いでいる。そこで、定置網の一部である金庫網の入り口に格子網を取り付けることで、サケは通るが、ゼニガタアザラシは通れない仕組み。海外では既に普及しており、えりも地域の漁業者も独自の工夫を凝らして設置した格子網があるという。
格子網は縦2メートル×横2メートルの正方形で、網目サイズを25センチ×25センチ、20センチ×20センチ、18センチ×18センチ、16センチ×16センチでそれぞれ実験。櫻木さんによると、網目サイズは20センチ以下だと、ゼニガタアザラシの忌避効果が高くなることを確認した。
もう一つの実験では、網目の色が白と茶のどちらがサケが通りやすいかを調べている。明るい白よりもサケに見えにくい暗い茶の方が入網しやすくなるのかどうかを調査する。
魚は、市内南茅部地区の古部漁港で水揚げされた秋サケ20匹。20日まで実験を続けており、櫻木さんは「研究成果を被害防止に役立てたい」と話している。(山崎大和)