函館市は新年度、函館産コンブに特化したPR活動に乗り出す。函館がコンブ生産量日本一の産地として認知されていない現状を受け、消費者をターゲットにポスターの作成や、飲み比べを楽しんでもらう「だしバー」の開催などプロモーション活動を展開。「コンブPR元年」と位置づけ、認知度アップを目指す。
合併前の旧函館市はスルメイカが漁業生産高の60%を占めていたが、コンブ生産が盛んな旧4町村との合併後はコンブ生産高がスルメイカを上回った。2015年の北海道水産現勢によると、函館市のコンブ生産量は4696トン、生産高は66億4194万円で、スルメイカ(1万198トン、40億4045万円)に勝る。もともと函館は「イカのまち」としての売り込みには成功したが、PR不足もあり「コンブ=函館」というイメージは薄いのが現状だ。
コンブは関連産業の裾野が広いため、オール函館としてPR活動を強化する。具体的には今夏をめどにポスター2000枚を作り、市内の土産店や観光施設、函館フェアを開催するスーパー、百貨店などに掲示してもらう。だしバーは、函館農水産物ブランド推進協議会が年5回程度開く料理教室やスーパーでの函館フェアを活用し、函館産の魅力を伝える。このほか、函館産コンブにこだわった商品を扱う食品メーカーに対し、パッケージに「函館産コンブ使用」と明記してもらうよう働き掛ける。コンブを買い求められる環境づくりに向け、市内の売り場調査も進める考えだ。
昨年8月に東京ビッグサイトで開催された国際見本市「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」の会場で、市職員がバイヤーら計156人に「コンブ産地と言えば、どこをイメージするか」と質問したところ、利尻61人、日高36人、羅臼41人、分からない11人で、道南は5人、南茅部は2人だった。函館と答えた人はゼロで、市農林水産部は「あまりにもショックな結果で、PR不足を痛感した」という。
同部は「関西の料亭や料理人、問屋からは函館のマコンブは品質が高いという評価を得ている。消費者にも産地としていいコンブが採れていることをPRしたい」としている。市は2017年度予算案に、農林水産物販路開拓等推進事業費として約76万円を計上している。(山崎大和)