一般住宅や賃貸マンションの空き部屋などに観光客らを有料で泊める「民泊」が、1日から許可制の形で解禁されたのに合わせ、函館市も「市旅館業法施行条例」を一部改正する。現行の旅館業法の「簡易宿所」に位置付け、政令で定める構造設備基準を緩和することで、許可を取得しやすくなる。
改正内容は一律に「33平方メートル以上」としていた簡易宿所の客室の延べ床面積の基準を、許可申請で宿泊者の数を10人未満とする場合には1人当たり、3・3平方メートルと緩和した。この基準改正は政令規定事項で、1日の施行とともに適応される。
合わせて自治体が条例を策定する際の指標となる、国の「旅館業における衛生等管理要領」も一部改正。宿泊者の数を10人未満で申請した場合、宿泊者の本人確認ができる代替機能を有し、緊急時の対応体制が整備されていれば、フロントの設置を求めないこととなった。
同要領の改正については市の条例改正が必要だが、経過措置として構造設備基準の適用除外規定を適用し1日から対応している。今後、函館と同じように独自の構造基準を設ける札幌市や旭川市、道とともに検討し、近くパブリックコメントを実施して条例改正する見通し。
市立函館保健所によると、2014年度末時点の宿泊施設数はホテル67、旅館72、簡易宿所29で合計の定員が2万21人となっている。民泊の参入状況については、市への申請をせずに営業しているケースも考えられ「把握できていない」とするが、「定員10人未満の小規模な規制緩和のため、他の旅館業者には影響はないだろう」とみる。
3月に同保健所宛てに民泊参入に関する相談が1件あったが、4月以降の新規参入に関する申請はまだ寄せられていないという。国は秋までにホームステイ型の民泊の届出制や、仲介業者に対する規制などを検討し、民泊全般に関わる法整備を行う予定だ。(蝦名達也)