函館市末広町のベイエリア付近で14日、エゾシカ1頭が目撃された。市内では7月に函館山での目撃情報があったが、ベイエリアでの目撃は今回が初めて。市農林水産部では「函館山で目撃されたエゾシカと同一個体の可能性が高い。関係機関と協力し、保護するために捕獲方法を検討していきたい」としている。
函館西署によると、14日午後8時50分ごろ、通行人から「金森赤レンガ倉庫付近の路上にシカがいる」との通報があった。現場に到着した同署員が角のないメスと思われるエゾシカを確認し、同10時ごろまで通行人らに注意を呼び掛けた。エゾシカは1時間以上、周辺を徘徊(はいかい)していたという。人的被害などはなかった。同署から連絡を受けた市は地元の猟友会に捕獲を要請したが、夜間のため作業が難しいと判断。15日以降は同所での目撃情報が報告されていないため、捕獲作業は行われていない。
函館山では、7月24日に千畳敷コースと旧登山道コースが交わる中腹付近でエゾシカが目撃されて以来、登山者や住民らから複数の情報が寄せられている。8月4日には船見町の外人墓地付近での目撃情報を受けて、市職員や猟友会メンバーら11人が網を使って捕獲を試みたが、逃げられてしまったという。
市は函館山周辺6カ所にエゾシカ出没注意を促す看板を設置するとともに、周辺の町会を通じて住民に注意を呼び掛けている。同部は「エゾシカはおとなしい性格なので、刺激を与えなければ襲われる危険は少ない。もし発見した場合は速やかに連絡を」と呼び掛けている。(小川俊之)