市立函館博物館(青柳町、函館公園内)が1~6日に開いた児童向けの縄文関連の講座が好評のうちに終了した。今年度は釣り針、矢じり、土偶をつくる3講座で、北海道・北東北の縄文遺跡群の世界文化遺産登録への関心もあって、いずれも募集から早い段階で定員に達した。子どもたちはそれぞれの作業に熱心に取り組み、縄文時代の暮らしにも理解を深めた。
3講座のうち、5日に同館で開いた「黒曜石で矢じりをつくろう」には児童15人が参加。縄文時代よりも古い旧石器時代の史跡「ピリカ遺跡」がある今金町教委の宮本雅通学芸員が講師を務めた。
黒曜石はオホーツク管内遠軽町産で、鋭利に加工しやすい特徴を持つ。宮本さんは道南は産地ではないことに触れ「道南の縄文人は(石器に)頁岩(けつがん)を使っていた。黒曜石より硬く作りづらいが壊れにくい」と話した。矢じりを取り付ける棒はノリウツギの枝を使用。軽くて真っすぐに飛ばすことができるといい、恵庭市内の出土品から、縄文時代に使われていたことが判明したことも紹介した。
製作作業では、シカの角を押し当てて黒曜石をはく離させ、動物に刺さったときに抜けにくいように三角形になるよう成形。慣れない作業に苦戦しながら矢じりを完成させ、屋外に出て弓を使って試射した。
函館北美原小学校6年の鈴木郷介君(11)は「矢じりがどのようなことに使われ、どう作っていたのか知りたくて参加した。動物を捕れるように先をとがらせるのが難しかった。縄文の人たちは大変だったと思う」と話していた。(今井正一)