先月から道南でも進められている医療従事者らへの新型コロナウイルスワクチンの優先接種が15日から、市立函館病院(森下清文院長)でも始まった。初日は希望者約1400人のうち94人に接種。同日午後4時半現在、体調が変化したり、アナフィラキシーなどの重篤な副反応が出たりした職員はいなかった。(長内宏人)
函館市病院局によると、米製薬大手ファイザー製ワクチンは5日、同院に到着。道南での優先接種分として2925回分(約1470人分)が配分され、このうち同院分は1970回分。2度目の接種に必要な量はまだ届いていないという。
接種は各病棟の医師や看護師、検査技師など全職員の8割に当たる約1400人。希望者の中からランダムで抽出し、1日あたり90人程度を目安に接種し、4月2日に1回目の接種を終える予定。2回目は同5日から始め、同23日までに完了する見通し。
接種会場は同院の精神病棟1階に新設したワクチンセンターで実施した。アレルギーの有無や既往歴、当日の体温などを予診した後にワクチンを接種。その後、待機部屋に移動し、体調の変化や副反応がみられないか15分程度観察した。
同院で最初に接種した森下院長は「ワクチン供給が不安定な中、優先して接種させていただいたことに感謝する。同時に、市民らの期待に応えなければという気持ちを強くした」と強調。「ワクチンという大きな武器を与えていただいたことで、職員の安心感や業務の不安解消につながると思う」と話した。
また、森下院長は、接種後の院内における対応について「コロナ第4波に備え、病床数の増床や人員面の充実を図るほか、社会的基盤をつくるエッセンシャルワーカーへの接種、副反応の有無などに関するデータ収集に取り組みたい」としている。