新型コロナウイルス感染拡大の影響で、道南を訪れる修学旅行にも変化が起きている。本州の学校が行き先の変更や旅行を中止としたため減少した一方で、道教委が研修先に道内を検討するよう通知したことで、道南ほか道内では函館市や七飯町を選ぶ学校が増えている。函館市電では混雑を避けようと学校の貸切が増えるなど感染予防策が講じられている。(小杉貴洋、野口賢清、北川隼夢)
七飯町大沼の大沼合同遊船では、例年は首都圏や九州を中心に20~30件が利用していたが、今年はこの分が減ったものの、札幌や帯広、旭川など道内の学校が増加し、8月27日現在で60件の予約という。川村晃也常務は「ツアー客が減っている中、道内の学校が大沼を旅先に選んでくれるのはありがたい」と話す。
同日には札幌宮の森中学校(森長弘美校長)の3年生97人が遊覧船を利用。同社が取り組む手の消毒など感染予防対策を徹底しながら、約25分間の周遊を満喫した。同校は5月中旬に2泊3日で岩手県と函館市を訪れる予定だったが、七飯町、鹿部町、函館市の行程に変更し、1泊2日とした。山口敬翔さん(14)は「(修学旅行を)実施できない学校もある中で函館方面に来ることができてうれしい。遊覧船は風が気持ち良くて快適」と笑顔。
グリーンピア大沼(森町赤井川)の中村圭総支配人は「例年4~8月の修学旅行は30校前後だが、今年はゼロ」と肩を落とす。昨年は約70校の利用があり、今年は秋以降の減少に歯止めが掛かる形で「シーズン全体では半分程度に落ち込むのでは」とみている。
函館市内でも修学旅行生が8月ごろから増えている。五稜郭タワーでは「道内や東北などから11月末ごろをピークに予約が入っている」(担当者)とする。昨年度は500を超える学校が展望台からの眺望を楽しんだが「今シーズンは120~150校程度にとどまるのでは」とみている。しかし、12月にも修学旅行の予約が入っており、推移を見守っている。
函館市電は修学旅行生から好評だった一日乗車券の予約が激減。8月21日現在で一日乗車券や貸切を含む学校の予約は126校で、例年の3分の1程度にとどまている。ただ、「密」を避けるコロナ対策として、貸切を申し込む学校が増えているという。市交通部事業課は、市民の利用も多いことから、事前に修学旅行生の利用が分かっている場合は担当者を電停に配置したり、電車の増発をしたりするなどの措置で混雑緩和に務めている。