函館市船見町の高龍寺(永井正人住職)は先月から、手洗いやソーシャル・ディスタンス(社会的距離)をとることなど新型コロナウイルスの感染防止をテーマとした写真や動画をSNSで定期的に投稿している。動画では「手を洗おう」、「油断は禁物」といったメッセージを添えており、永井住職(46)は「動画でウイルスに対し、人々が同じ方向を向く手助けになれば」と力を込める。
同寺院では人々に気軽に足を運んでもらおうと、2013年にフェイスブック、17年にはインスタグラムを開設、行事の告知など情報発信を続けてきた。今回の動画制作もその一環で、永井住職や同寺院広報担当の守永辰良さん(44)が中心となり、企画を進めてきた。
5月1日には僧侶16人が距離をとって並んでいる写真を投稿し、「今は離れて心で寄り添おう」と呼び掛け、同8日には祈祷法要で読経する「般若心経」と荒々しい太鼓の音に合わせ、僧侶たちが手を洗う動画を投稿。「洗洗(あらあら)しい」という言葉を引っ掛け、「いま私たちにできること」と題し、約1分の動画で手のひらだけでなく、指やつめの間まで洗うことを呼び掛けた。
同15日には道の鈴木直道知事がPRする「SOS!牛乳チャレンジ」に取り組み、木魚のリズムに合わせて僧侶が牛乳を飲む動画を制作。今月2日には座禅中に居眠りをしている僧侶が警策(きょうさく)でたたかれる動画に「気を抜かずに今を一歩ずつ」というメッセージを示した。
永井住職は「緊急事態宣言の解除で、これからは自分たちで考えて行動しなければならない」とし、「寺は元来人が集まる場所。動画を通じて心だけでも寄り添うことができれば」と話している。(飯尾遼太)