函館市内の飲食店が調理した料理を委託業者が職場へ届ける市の実証実験「おかずデリバリー」が始まった。新型コロナウイルスの影響で需要減に悩む事業者はまとまった注文が得られるとあって、参加店から感謝の声が上がっている。
市の飲食店支援事業の一環。事前登録した「協力企業」の従業員らが「夕飯のおかずセット」として参加店の1000円または3000円のメニューを注文し、市の委託業者が料理を夕方までに職場へ配達する。
3~26日に展開する第1弾では、5日時点で協力企業35社、飲食店30店が参加。実証実験の運営事務局によると、3~5日の注文金額の合計は約110万円で想定の6倍を上回るニーズがあったという。
実験に参加し、本町で焼肉店などを運営する沙蘭(金村秀一社長)は5日、約70食の注文があった。店舗はウイルスの感染拡大に伴い、4月下旬から約2週間休業を余儀なくされ、再開後の2週間も営業時間を短縮。客足の戻りは鈍く、4、5月の売り上げは前年の半分以下にとどまるという。金村社長は「先が見えない状況の中、1日で大きな売り上げがあるのは大変ありがたい」と頬を緩める。
一方、協力企業のうち、土木・建設業の松本組(函館市吉川町、大越雄司社長)は、本社に勤務する約60人の福利厚生と地域貢献を兼ね実証実験に参加。1人当たり3000円の注文代金を会社が負担する。
多くの社員は注文した3段重の料理が届くのを楽しみに待っていたといい、5日に料理を受け取った大越社長は「外出機会が減った中、プロの味を社員が自宅で楽しんでもらおうと参加を即決した。少しでも飲食店の力になれば」と話した。
おかずデリバリーの第2弾は7月8日~8月7日に実施される。(山田大輔)