函館市は18日、2010年の開催を最後に休止していた「高田屋嘉兵衛まつり」で、8月1日に同まつりで行われていた顕彰・追悼式を6年ぶりに実施する考えを示した。4月にも市と函館商工会議所を中心とする「顕彰会」を設立し、具体的な行事内容などを決定する。
18日の市議会第1回定例会個人質問で、藤井辰吉氏(市政クラブ)が質問した。
高田屋嘉兵衛(1769―1827年)は函館の開祖といわれる江戸時代の豪商。同祭りは協同組合十字街商盛会を中心に、嘉兵衛の没後150年に当たる1976年、嘉兵衛の功績をたたえ、北方領土返還の機運を高めようと始まった。
毎年、市内宝来町の嘉兵衛像の前で顕彰・追悼式のほか「高田屋嘉兵衛まつり音頭」の舞踊奉納、歌謡ショーなどを実施。しかし実行委の担い手不足や協賛金の減少などから10年に中止し、実行委も解散した。
長い沈黙が続いた中、昨年商工会から市へ、嘉兵衛の偉業を市民へ広く発信し末長く伝えてもらおうと、顕彰行事再開の打診があり、賛同した。開催時期や場所は従前と変わらないが、歌謡ショーなどのイベント開催は行わなれない見通し。
顕彰・追悼式をメーンとするもので、嘉兵衛の古里・兵庫県洲本市の関係者らを招き、献花を行う予定だ。小山内千晴観光部長は「来年以降も継続実施したい」と述べ、官民一体となって嘉兵衛への市民意識を高める意思を見せた。(蝦名達也)