道南は今冬、寒気が入りやすい状況となり雪の日が多く、函館では累積降雪量(11月1日~2月13日)が425センチとなり、1954年の観測以来5番目の多さとなっている。道路脇に除雪で積まれた雪が2メートル以上となる箇所も多く、人や車にとって視界が悪くなっているほか、「これ以上雪を置く場所がない」と除雪に悲鳴をあげる住民も出ている。
函館で累積降雪量が最大だったのは1983~84年の496センチ。以下、2011~12年465センチ、05~06年449センチ、09~10年439センチで、今冬は6年ぶりの大雪。11日に大阪から出張で函館に来ていた会社員、前田一佳さん(55)は「何度か冬に来ているが、こんなに交差点に雪の山があるのは初めて見た。安全確認に苦労します」と話していた。
大雪の要因は、低気圧の接近や、冬型の気圧配置となり上空に強い寒気が入っている影響。また、道南は北西から西にかけての風が入ることが多く、函館地方気象台によると、雪雲が発生しやすい函館で雪が多くなり、累積降雪量の平年比(13日現在)は道南で最も高い156%。北からの風で雪が多くなる長万部は同89%の365センチ。
2月上旬の平均気温は氷点下1・6度で平年比より1・2度高かったが、11日以降は冷え込みが厳しくなっている。このため硬いわだちとなった路面も多く、でこぼこの影響で市内では車の部品とみられるものが落ちている箇所も。日高管内などでは農業用ビニールハウスの被害が発生しているが、渡島総合振興局によると、管内ではこれまでにないという。
札幌管区気象台によると、3月上旬ごろまで冬型の気圧配置が平年より強い見込みで、雪に悩む日はまだまだ続く。市内豊川町の主婦(66)は「庭や玄関前など、雪を置く場所はもうない。近隣でトラックを持っている人もいないので市の雪捨て場にもいけない」と困り顔。「西部地区は高齢者が多いので、除雪が辛い人が多いと思う。他都市のように町内の一斉除雪の仕組みがあれば」と話す。(山崎純一)