【江差】日本海に面する町内のかもめ島で見つかっていた海面が白く濁る現象について、桧山振興局水産課は2月28日、ニシンの産卵活動で起きる群来(くき)だったと発表した。同日午前に地元漁業者が見つけた海藻についた卵の状況から断定。江差での群来は1913(大正2年)以来104年ぶりで、漁業者や行政など桧山全体で臨む稚魚放流などによる資源復活への取り組みに弾みがつきそうだ。
群来は26日午前7時ごろ、近所の漁師でニシンも捕る青坂貴章さん(52)が見つけた。この日午前6時半ごろに漁から戻り、犬の散歩中に海面の異変に気づき「雨は降っていないのにホンダワラがあるところだけが白くなっていた。数日前にニュースで見た石狩の群来のことが頭にあったので、まさかと思ったけど漁協にすぐ電話した」と振り返る。
白く濁っていたのは長さ150メートルほどで、発見直後から一帯を関係機関で調査。27日にはダイバーも加わったが卵の発見には至らず調査を打ち切っていた。ところが28日午前、ナマコの潜水漁業に従事するひやま漁協所属の漁業者が、近くの水深13メートル付近で偶然に、卵が付着した海藻を発見。道の桧山地区水産技術普及指導所に持ち込み調べた結果、ニシンの卵だと分かった。
桧山沿岸の日本海では、2009年から「ひやま地域ニシン復興対策協議会」(会長・工藤昇上ノ国町長)がニシンの稚魚を育て、16年には過去最大の100万匹を放流。今年も初夏に同規模の放流を予定している。工藤会長は「継続は力になる。不振を極める日本海漁業において、群来を一つのエネルギーに起爆剤として今後も地域で力を合わせて臨む」と話す。
同課によると今後の調査予定はないが、「この卵がふ化を迎えるまで注視しながら見守りたい」としている。(田中陽介、野口賢清)