知的障害のある人の社会参加を目的に、スポーツトレーニングと競技会を行う「スペシャルオリンピックス日本」(SON)の北海道・東北ブロック大会が昨年11月に仙台市で開かれ、函館で活動する3人がメダルを獲得した。3人は「練習の成果を発揮できてうれしい」と笑顔を見せ、ボランティアとして同行した道教育大函館校の学生らにも喜びが広がっている。
大会は初めて行われ、7道県からアスリート135人、コーチ45人、審判などボランティア230人が参加。陸上とバスケットボールの2種目があり、3人はバスケットボールの個人技能競技に出場した。
個人技能は、壁に描かれた1メートル四方の枠に2メートル離れた場所からボールを投げて取る「ターゲットパス」、6カ所からゴールを狙い、決めた場所に応じて得点が入る「スポットショット」、タイムを競う「10メートルドリブル」の3種目の合計得点で競う。また、競技能力を同程度にするため、事前に申告したスコアごとに予選を行い、予選のスコアで20人を4組に分けた。
「ディビジョン2」に出た阿部博志さん(24)が初の競技会にして金メダルを獲得し「働きながらたくさん練習してきたのでうれしい」とにっこり。銅メダルの太田健一さん(36)は「バスケットボールは20年続けてきて大好き。もっとスコアを伸ばしたい」、「ディビジョン3」で銀メダルだった広晟(こうせい)君(13)は「いつも通りの力を出せた。これからも練習を頑張る」とそれぞれ語る。
道教育大函館校では、細谷一博准教授(特別支援教育)が2010年に「SOサークル」を立ち上げた。現在約15人の学生、大学院生がプログラムをサポートし、2週間に1回練習を行っている。仙台には4人が同行し、このうち3年の能登花織さん(21)は「3人ともメダルを獲得でき、成長した姿を見られた。他県のアスリートと交流を深め、いい経験ができた」と振り返る。
ヘッドコーチとして帯同した細谷准教授は3人の成績や生活面での成長に目を細め「一人でも多く大会に参加できるようにするには、函館の企業の理解が必要。3人の活躍を通じ、より多くの人に知的障害者のスポーツに関心を持ってほしい」と話している。(稲船優香)