函館碧血会(大谷仁秀会長)は25日、箱館戦争(1868~69年)をはじめとする戊辰戦争の旧幕府軍戦没者を慰霊する碧血碑前祭を函館山の麓にある同碑前で開いた。関係者や市民ら約80人が参列。戦いから150余年の歴史に思いをはせ、戦死者の霊を慰めた。
箱館戦争の終結後、市中に放置されていた旧幕府軍戦死者の遺体を箱館の侠客、柳川熊吉らが奔走して実行寺などに埋葬。1875(明治8)年、榎本武揚らが尽力し、碧血碑を建立した。同会は、6月25日を戦いが終わった日として毎年法要している。
この日は、実行寺(船見町)の望月正寿副住職ら僧侶4人が読経し、碑の周りに白いマーガレットを散華。参列者が焼香し、静かに手を合わせた。東京在住の浪曲師の東家一太郎さんと曲師(三味線)の東家美(みつ)さんは、碧血碑建立のいきさつを描いた「五稜郭始末記」の「義侠熊吉」を奉納。「仏に敵も味方もない」と遺体を回収し、奔走する柳川の姿を情感込めて演じた。
戦場で敵味方なく傷病兵の治療にあたった高松凌雲の妹が曾祖母にあたる高松省三郎さん(71)は「前から来たいと思っていた。ようやく実現できてうれしい」と、福岡県から初めて参列。榎本のひ孫の榎本隆充さん(88)とやしゃごの隆一郎さん(61)は東京から来函。隆一郎さんは「歴史はそのままにしていると埋もれてしまう。次の代に受け継いでいくことが大事。こうしてみなさんに毎年集まっていただきありがたい」と話していた。(早坂直美)