4日午前11時半ごろ、函館市中野町74の市道高松新湊線脇の斜面で、手りゅう弾のようなものを見つけたと、草刈り作業をしていた男性が函館中央署に110番通報した。警察などの依頼を受けた陸上自衛隊が午後8時すぎに回収した。米軍や陸自が使用していたMK2手りゅう弾とみられる。現場付近では、住民が一時避難したほか、市道が約9時間にわたって通行止めとなった。
同署によると、見つかったのは全長10センチ、直径5センチの手りゅう弾。市道の草刈りを受託している会社の作業員が、草刈り後にのり面の草むらの中に、泥がついた状態で転がっているのを発見した。
同署と市消防本部などは、発見場所に土のうと防爆マットを設置し、陸上自衛隊第11旅団(札幌市真駒内)に処理を要請。午後7時10分に到着した処理班は、MK2手りゅう弾と判断し、現場から回収した。「真駒内に持ち帰り、詳しく調べる」としている。回収が終了するまで、現場近くの市道の一部区間は、規制線が張られ、全面通行止めとなった。
閑静な住宅街でにわかに起こった爆発物の発見に地域住民から動揺や不安が広がった。市は午後1時12分、銭亀町の函館東小学校体育館に避難所を開設し、発見場所から半径100メートル圏内の市民に避難を呼び掛けた。同3時15分時点で23世帯41人が避難したが、同署などの判断で、同5時40分までに避難者は全員帰宅した。
現場近くには、119人(うち歩行困難者79人)が入所している介護老人福祉施設があったが、同署や陸自などが危険はない判断したため、避難などの措置は取らなかった。
MK2(エムケーツー)手りゅう弾 米軍が開発し、第二次世界大戦などで使用した。その形状から「パイナップル」と呼ばれた。陸自11旅団広報によると、陸自でも、後継のM26手りゅう弾を採用するまで兵器として用いており、現在も訓練で使うことがあるという。
「まさか」「早く帰りたい」 住民から不安の声
避難所となった銭亀町にある函館東小学校(前田直樹校長)体育館には、周辺の住民が次々と避難した。
午後0時50分ごろに避難所にやって来た80代女性は「ここで40年くらい暮らしてきたが、爆弾騒ぎで避難したのは初めて。こうした騒ぎは他人事のように思っていたが、まさか自分が経験するとは思わなかった。早く帰りたい」と話した。また、午後2時ごろ避難した女性(27)は疲れ切った表情で「子どもと一緒に誘導に従って避難してきたが、誰も何も教えてくれず不安。せめて現在どういう状況なのかだけでも教えてもらいたい。安心したい」と訴えていた。