ビジネスを通じた地域の課題解決を考える函館大学のサークル「ビジネス企画研究室」の学生3人が、エゾシカなど鳥獣のわなを使った猟に必要な「わな猟狩猟免許」を取得した。道内でのエゾシカによる農作物被害の解決をビジネスの視点で考える「エゾシカプロジェクト」の一環で、学生は「生態系など種の保存にも関心を持つきっかけになった」と口をそろえる。
同プロジェクトは今年度スタートし、これまで渡島総合振興局への取材で道南での被害状況を学び、調理実習でエゾシカ肉の調理法を学んだ。エゾシカの捕獲に必要な免許の取得には、プロジェクトメンバー3人と、学生のサポートにあたる、同大地域連携コーディネーターの高橋和将さんが挑戦した。
試験に向けては8月8日に七飯町で講習会があり、筆記や実技など各試験の出題内容に触れた。筆記試験では、ニホンジカなどわな猟で捕獲可能な動物の判別や狩猟に関する法律、動物の生態系などに関する知識が問われる。実技では、足や首などをワイヤーで縛り捕まえるくくりわなの設置作業に取り組み、学生は指導する猟友会メンバーの手順を動画などで撮影したものを参考に、同23日の本番までイメージトレーニングを繰り返した。
受験した3年の小林将悦さん(22)は「実際に猟をしてみようと受けたが、免許のほかに入林などさまざまな許可が必要なことが分かり、野生動物が捕獲され、食用として食卓に並ぶまでには多くの段階をあることに気付かされた」、2年の守山諒汰さん(19)は「いくら農作物被害があっても捕獲し、絶滅させてはいけないことを知り、生態系への関心が高まった」と振り返る。
今後は、受験の学びを生かし、捕獲したシカを処理、加工し、食用として安定供給できる環境づくりに着目し、とったシカを一時飼育する「養鹿(ようろく)」にも視野を広げてプロジェクトを進めていく。学生たちは「どうすればシカを多く市場に流通させられるかなど、ビジネスの視点で商学部なりのアイデアを模索していきたい」と意気込んでいる。(飯尾遼太)