函館水産高校(亀山喜明校長)の2年生32人を乗せた道の実習船「若竹丸」が9日、1カ月半に及ぶ乗船実習を終えて函館港に帰港した。ハワイ沖の太平洋で獲ったマグロを初めて函館に水揚げした。
実習船は1月25日に同港を出航し、はえ縄漁や航海術、海洋観測などを体験した。獲ったマグロは昨年まで、静岡県の清水港で水揚げしていたが、今年は水産物卸売会社「カネシメ高橋水産」(札幌)が協力し、函館に水揚げした。下船した実習生が5~6月、コープさっぽろの店舗で対面販売に挑戦し、流通の実態を学ぶ。
この日は、船内の冷凍庫からメバチマグロやキハダマグロなど約300キロをクレーンでつり上げ、船に横付けしたトラックに積み込み、市内の冷凍倉庫に運んだ。同社営業第四部製品グループの渡部左恵子課長は「目標の漁獲量に達しなかったものの、下処理が丁寧で商品価値は高い」と評価していた。
水揚げの様子を船橋の外に出て見守った実習生たちは船内での入港式を終え、久しぶりに函館の地を踏んだ。多くの在校生や保護者が出迎え、実習生は笑顔を浮かべていた。
実習生の目谷風太さん(17)は「50~60キロもあるマグロは迫力があった。船酔いが1週間続くなど、楽しいことばかりではなかったが、一生の財産になった」と話した。(深津慶太)