元函館ラ・サール中学・高校英語教員のピーター・ハウレットさん(62)の初の著書「変えよう!日本の学校 カナダ人英語教師が提唱するエンパワーメント(活力を与える)教育」が20日、全国の書店で発売される。受験のための詰め込み教育と決別し「人間づくりに重点を置いた教育を行うことが日本を良くする方法である」と提言。日本の教育界に一石を投じる画期的な内容となっている。
ハウレットさんは今年3月、ラ・サール中高を定年退職し、現在、青丘学院つくば中・高(茨城県石岡市)で教べんを執っている。30年以上の教員生活の中で、教育の本懐が人間づくりと自覚しているにもかかわらず、詰め込み式教育に加担せざるを得ないジレンマを抱えていた。日本の教育を変えたい一心で、柏艪舎(札幌)の依頼を受け1年かけて英語で執筆。長男のハヌル・ハウレットさん(30)が監修・訳を担当した。
日本の学校教育の問題点について「自分の頭で物事を考える人間を育てていない。見て判断する能力がないので、だまされる。権力者にとって都合の良い人間を作る行為だ」と指摘。他者を思いやる気持ちは点数にならず、情操教育がないがしろにされている現状を憂う。
本は全6章で構成。1章は反大間原発運動など著者の軌跡を紹介、2章は日本の英語教育の問題点を取り上げ、5章ではエンパワーメント教育の実践例として、受験英語からコミュニケーション英語へ転換した函館中部高校の取り組みを紹介。6章では、友人で元予備校講師の阿木幸男さん(東京在住)との対談を載せ、塾によって支配された日本の教育システムを批判している。
ハウレットさんは「自分の頭で考える力をつけ、自ら行動を起こす人間を育てるため、エンパワーメント教育が必要。教員はもちろん、保護者や生徒にも読んでほしい」と話す。
四六判、175ページ。1512円。通販サイト「アマゾン」でも扱っている。(山崎大和)