地域経済の低迷や人口減少など地域課題の解決に資する先進的な情報通信技術(ICT)の利活用事例を広く募集し、優れた取り組みを表彰する、総務省の「地域情報化大賞2015」に、公立はこだて未来大マリンIT・ラボが取り組んだ「IT漁業による地方創生」が22日、最高賞に当たる総務大臣賞を受賞した。
マリンITラボは、同大教授ら研究者と漁業者が一体となって2012年に学内に立ち上げた研究組織。「IT漁業による地方創生」は、漁業者の高齢化や後継者不足、魚価の低迷など沿岸漁業が抱える課題を解消していこうと情報と資源の共有化を目指した。
衛生利用測位システム(GPS)やセンサー付きのブイを活用し、水産物の分布状況や海洋環境を”見える化”することで、漁業者の勘と経験を情報として共有・継承することを可能とした。取り組みにより、漁協を含む30団体への技術移転や、従来の海洋観測ブイなどのコストを大幅に低減したという。
本年度は全国から85件の応募があり、外部有識者を交えた審査の結果、同大の取り組みなど12件の事例を賞に選んだ。
同ラボの代表を務める和田雅昭教授(44)は「大賞はうれしい。漁業者の協力がなければできないこと。一緒にやってきた漁業者の取り組みが評価されたと受け止めている」と話している。
表彰式は3月9日、東京ビッグサイトで開催する「地域ICTサミット2015」の中で行われる。(鈴木 潤)