公立はこだて未来大学は、道警函館方面本部交通課と連携し、交通事故の発生を予測するシステムの構築に向けた共同研究に取り組んでいる。初年度となる今年度は、函館市内で起きた過去3年分、約1200件の交通事故データから、AI(人工知能)技術の機械学習と重要度を抽出する手法を組み合わせ、事故の発生環境、発生時刻帯に基づくけがの程度との関連性を分析する手法を開発した。
共同研究は、同課が昨年6月に情報分析に長け専門技術がある同大に打診。これまで統計情報としてしか活用していなかった過去の交通事故情報を両者の知識や経験を活用し、最新のデータ分析研究を行うことで、事故の発生傾向の分析や、事故発生予測システムの構築につなげるのが狙い。
研究は、同大の新美礼彦教授と学生が同課の蓄積した交通事故データのうち、死亡事故以外の区分で重軽傷事故の中の重傷度に影響を与える要因や特徴の抽出を試みた。その結果、「歩行者が後方から来た車両に衝突される事故」の重傷度の割合が最も高いことや、事故が発生する時間帯については「1月」「雪」「土曜日」の項目では重傷度が他と比べ低かったことが分かった。
新美教授は今後の研究に向け「1年目でデータの様子が分かってきたので、より深く専門的な新しい手法を試していきたい」と力を込め、同課の吉田勝彦課長補佐は「研究してもらった成果が、交通事故防止の一助や抑止につながるシステムになってほしい」と話した。(竹田 亘)