道立函館美術館は3日、カフェ&トーク「幕末珈琲(コーヒー)を味わう」を開いた。特別展「北のさきがけ 道南四都物語」(13日まで)に合わせて、五稜郭公園内の箱館奉行所との連携イベント。幕末の文書に残されたレシピを再現したコーヒーの味を楽しんだ。
美術館では展示解説を受けた後、奉行所に移動。全日本コーヒー商工組合連合会認定のコーヒーインストラクター1級を持つ美鈴商事の坂口隆年さんがコーヒーの入れ方を指導した。
幕末のコーヒーの入れ方が記された文書は、1857(安政4)年に書かれた箱館奉行所の公文書「蝦夷地御用留」。当時は薬として飲まれ、黒くなるまで豆を煎ることや砕いた豆は麻袋に入れてティーパックの要領でコーヒーを抽出した入れ方が記されている。
坂口さんは「諸説あるが、江戸末期に長崎の出島にオランダ人が持ち込んだものが最初。薬として飲まれていた」とし、「蝦夷地御用留」が活字としては最も古いものとした。
この日、用意されたコーヒー豆はインドネシア産のマンデリンで、坂口さんは「オランダはインドネシアでアラビカ種の栽培に成功していた。推測だが箱館で飲まれたコーヒーもインドネシア産だったのでは」とした。
参加者が用意されたコーヒー豆をすり鉢すりつぶすと室内にはコーヒーの香りが広まり、それぞれが一苦労して入れた160年前の味を満喫していた。(今井正一)