買い物などを通して高齢者の健康増進を図る「おでかけリハビリ」が29日で、開始1年を迎えた。函館朝市で始まった取り組みは、実施会場が百貨店やスーパーなど全12会場に拡大。参加人数は延べ約350人に上る。推進協議会(松田悌一会長)は今後、福祉体験学習の場として小学生に参加を促し、高齢者が児童と触れ合える企画などを用意する考えで、事業の一層の普及を目指す。
おでかけリハビリは、文化教室や体験講座と買い物などを組み合わせたメニューを提供し、家に引きこもりがちな高齢者の外出機会を増やすのが目的。函館朝市協同組合連合会が始めた事業で、同連合会が音頭を取り、昨年9月に協議会が発足した。
介護施設や市社会福祉協議会、町会からの申し込みが多く、これまでの実施回数は26回。買い物と食事による参加者の平均単価は最大7000円で、商業施設にとっても利点が大きい。
4月にはポイント制を導入。1000円買い物するごとに「おでかけコイン」1枚を付与し、10枚集めると500円分の商品券と引き換えられる仕組みは、参加者から好評を得ている。
28日は、平山医院通所リハビリセンターの利用者約30人が、外出レクリエーションの一環として参加し、朝市で買い物や食事を満喫した。本通4在住の女性(89)は「久しぶりの朝市。銀ダラ定食を食べ、とても楽しかった」と満面の笑みを浮かべた。
同協議会は新たな企画として、市内の小学生から参加を募り、職業体験の場として活用してもらう準備を進めている。高齢者と一緒にレクリエーションを楽しみ、買い物などの補助を通して介護職への理解を深めてもらう狙いだ。
事業の広がりから問い合わせの件数も増えているといい、松田会長は「これまでは順調で手応えを感じる。新規の参加者をさらに増やして、商業施設の活性化につなげたい」と話している。(山田大輔)