足関節捻挫の治療
足首(足関節)は脛骨(内くるぶし)と腓骨(外くるぶし)と距骨(足)から構成され距骨の下には踵骨(かかと)があります。外側には前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯の3つの靭帯があり、外くるぶしとそれぞれの骨を結ぶ主にコラーゲン繊維からなる多数の繊維の集合体で足関節の安定を保っています。
足関節捻挫は日常よくあるケガで、足首を内返しに強制的にねじって発症します。外側靭帯の損傷で80%は前距腓靭帯損傷、20%がこれに踵腓靭帯損傷を合併しています。一般的に予後が良く、多くは手術を必要とせず、対症療法のみで比較的早くにスポーツに復帰できるため「ただの捻挫だから」と自分で湿布だけで済まされることも少なくありません。治療は基本的には手術をせず保存的治療を行います。受傷直後はRICE(R安静、I冷却、C圧迫、E挙上)を行います。
腫れや痛みがひどい場合、初期に短期間ギプス固定をすることがあります。足首を上下に動かせて内外がえしを抑制する機能的装具を装着し、保護しながら比較的早期から運動療法を行います。
痛みや靭帯のゆるみが残る靭帯不全の場合や、高いレベルのスポーツ選手に対しては靭帯修復や靭帯再建の手術が検討されることもあります。リハビリを含めて治療方法を決定するには、①靭帯損傷の程度や部位(ストレステストによる不安定の評価、MRI、エコー、内視鏡)、②周囲組織の損傷(骨折、関節軟骨、腓骨筋腱、浅腓骨神経、距踵関節などの損傷)、③患者さん自身の活動性(スポーツ、年齢など)を考慮する必要があります。
足関節捻挫は日常的によく見られ、多くは予後も良いケガですが、診断や靭帯損傷の評価、それに従って判断するリハビリを含めた最良の治療方法の選択には、実のところ今後まだまだ検討すべき多くの課題が残されています。
(ハコラク 2021年2月号掲載)
略歴
佐賀医科大学卒業後、久留米大学整形外科教室に入局し同院麻酔科、門司労災病院整形外科、聖マリア病院整形外科、福岡県立柳川病院整形外科、亀田病院整形外科などの勤務を経て、平成9年9月、こが整形外科クリニック開院。日本整形外科学会整形外科専門医。
こが整形外科クリニック
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