大腸がんについて
日本人のがんの部位別の死因は1位が肺がん、2位が大腸がん、3位が胃がんです(平成29年)。大腸がんは年々増加しています。その増加は日本人の食事の欧米化、すなわち、肉食の増加や食物繊維の摂取不足と関係があります。肥満やアルコール摂取量の増加、運動不足や喫煙も大腸がんの発症と関係しています。大腸がんは早期がんのうちはあまり自覚症状がありません。進行がんになって肉眼的血便や腹痛、便秘などの症状が出てきます。つまり症状が出た時は肺や肝臓に転移していて治療が難しい場合があります。
早期がんのうちに大腸がんを見つけるには、40歳以上になったら大腸がん検診を毎年受けることです。大腸がん検診は便潜血反応検査2日法で行います。大腸がん検診で見つかった大腸がんの半分は早期がんです。しかし、その受診率は50%以下にとどまっています。また、50歳以上の人では便潜血反応検査が陰性でも、1度は大腸内視鏡による大腸がん検診をお勧めいたします。これは大腸ポリープや陥凹型と呼ばれる早期がんでは便潜血反応検査が陰性のことが多いからです。
しかしながら大腸ポリープは大きくなるとその一部ががんになる前がん病変であり、陥凹型早期がんは進行型大腸がんになることが多いです。また、大腸ポリープが多く見つかった患者さんは便潜血反応検査よりも大腸内視鏡の方でフォローした方が良いと思います。別の検査法として、CTコロノグラフィー検査やカプセル内視鏡検査があります。これらは内視鏡検査に比べて精度はやや劣るものの、体への負担は少ない利点があります。
治療法は早期がんに対しては内視鏡によるポリペクトミーやEMR(内視鏡的粘膜切除術)、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)などがあります。進行がんに対しては外科手術、抗がん剤や分子標的薬による化学療法、放射線療法があります。
(ハコラク 2019年2月号掲載)
略歴
函館市出身。平成7年、弘前大学大学院医学研究科卒業。弘前大学附属病院第一内科を始め、勤務医を経て、平成19年、平野内科胃腸科を開業。平成28年10月、医療法人社団平野メディカルグループ 平野内科に組織変更。
平野内科
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