函館市企業局交通部は、明治時代の客車を復元した「箱館ハイカラ號(ごう)」の今季の運行について、全国的な新型コロナウイルスの感染拡大を受けて当面の間延期することを決めた。ただ、貸切運行は乗車人数を減らすなどの感染症対策を施して行う予定で、現在予約を受け付けている。同部は「通常運行ができるようになれば速やかに発表したい」としている。
函館に観光シーズンの訪れを告げる風物詩的な存在で、例年は4月から10月末までの土・日曜、祝日に運行。赤を基調としたレトロな車両が特徴で、観光客からの人気も高く、2019年度は約1万1000人が乗車した。昨年もコロナの影響で運休したが、貸切での運行はあった。
同部は5日に試運転を実施。換気のため窓を開けて走行するが、昔の造りのために窓を全開にするか完全に閉じるかしかできず、車内温度が適温を保てないという。また、全国でコロナ感染が拡大していることなども延期の要因となった。感染症対策で接触が少ないIC乗車券などが主流となっているが、レトロ感が魅力のため、車掌が切符を直接乗客に手渡しすることも変更しないといい、「安全に運行できるまで推移を見守りたい」(同部)とする。
一方で、貸切は要望も多いことから、これまで最大約40人だった定員を半数までに減らして運行。乗員乗客同士の密が避けられ、感染症対策も行いやすいという。希望の3日前までの予約が必要で、問い合わせは同部事業課電車担当(0138・52・1273)へ。(小杉貴洋)