渡島半島付近を通過した台風21号の影響で、渡島・桧山地方は5日未明に強い風に見舞われた。気象庁の速報値によると最大瞬間風速は北斗で32・0メートルを観測し、観測史上最大を記録。このほか松前28・8メートルなど6地点で9月として過去最大となった。各地で農業や建物に被害が発生し、JR函館線で特急列車が運休する影響があった。
リンゴの生産が盛んな七飯町の果樹園では、収穫間近だったリンゴの落果や枝折れ、葉がちぎれて飛ぶといった損害を受けた。
リンゴやプルーン、ブドウなどを栽培するトトロの里冨原観光果樹園(冨原孝一代表)では、リンゴなどの果実が多数落果したほか、ブドウハウスの屋根の一部が飛ばされるなどし、関係者が早朝から被害の確認作業や修理に追われた。
冨原代表(84)によると同園では、リンゴで全体の3割ほどが落ち、収穫間近の「つがる」などで被害が大きいという。「昨夜は風の音がすごくて、リンゴがすべて落ちるかと不安だったが、思ったほどの被害はなく、昨年の台風18号(9月)よりは少ない」と話していた。
JA新はこだてなどによると、管内の一部地域でネギに曲がりや折れが発生したり、スイートコーンやデントコーン、水稲などが倒れたりしたという。このほか知内町でビニールハウスのパイプが曲がったり、ビニールが破れたりする被害も数件確認されている。
漁業関係は5日現在、大きな被害は確認されておらず、関係機関が被害状況の把握を急いでいる。
函館地方気象台によると、渡島・桧山地方では6日、大気の状態が非常に不安定となるため、竜巻などの激しい突風や落雷、ひょう、急な強い雨となる恐れがあり、注意を呼び掛けている。
(野口賢清、山崎純一)
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