函館市は、2015年分のコンブ生産量(速報値)をまとめた。豊漁だった前年を10%下回る4640トンで、特に養殖コンブは04年の合併後、最低の水準となった。主力のスルメイカやスケトウダラの水揚げも振るわず、市の漁業は総じて厳しい状況が続いている。
市農林水産部によると、内訳は天然が前年比20%減の1308トン、養殖が6%減の3332トン。養殖は合併後3500トン~4100トンで推移していたが、15年は3500トンを割る低水準。同部は「天然は隔年で豊凶を繰り返すため、豊漁だった14年に比べ落ち込んだ。そこに芽落ちや脱落、寄生食害などによる養殖の不振が重なり、全体の数量を大きく下げた」という。
一方、生産額は24%減の54億9485万円となり、08年以降で最も低い。ただ、出荷待ちのコンブもあるため、金額は今後増える可能性がある。
道総研函館水試(金森浩一場長)の前田高志研究職員は「冬季の水温が低かった14年に比べ、15年は高めに推移した。恵山地区で養殖コンブが芽落ちしたのも要因の一つではないか」と話している。
同部によると、コンブとはマコンブ、ミツイシコンブ、ガゴメコンブがメーン。数量、金額とも函館、戸井、恵山、椴法華、南茅部の各地区の合算値。15年の市の魚種別漁獲数量では、ブリやサバなど暖流系の魚が好調を維持しており、海洋環境の変化が指摘されている。(山崎大和)