北海道史研究協議会渡島地区幹事で函館市白鳥町在往の郷土史家近江幸雄さん(79)はこのほど、道南のさまざまな歴史をまとめた「函館郷土秘話」を三和印刷(函館)から自費出版した。箱館戦争や社会・政治的な事柄のほか、スポーツ、文化に至るまで、さまざまな内容で知られざる話題を案内している。
近江さんは2006年に歴史図書専門の新人物往来社(現中経出版)が出版した「北海道の不思議事典」(好川之範さんら編集)で、道南の話題を三十数編執筆した際、ほかにも道南の謎や不思議を解き明かしたいと考え、本紙に07年5月から13年6月まで「道南不思議夜話」として約140編を寄稿・連載した。今回はその中から110編を厳選した。
函館にまつわる有名な人物として「高田屋嘉兵衛と女性たち」「新島襄、密航いつ決めた?」「ガルトネルが残したもの」などがあり、箱館戦争では「榎本武揚に恋人は居たか」「西郷は箱館で戦ったか」など裏舞台に迫っている。
スポーツでは47年の国体で優勝した函館市中学校(現市立函館高)ラグビー部や、野球の函館太洋(オーシャン)倶楽部に触れ、文化では昭和20~40年に市内で多くあった古書店や函館を舞台にした演劇も載せており、函館をさまざまな角度で振り返ることができる。近江さんは「あらゆるジャンルを選んだ。気軽に楽しんでもらえれば」と話している。
A5判、225ページ。1部2000円。市内の浪月堂書店(駒場町7)、文教堂書店函館テーオー店(梁川町10)で取り扱い中。(山崎純一)