臥牛山12月24日・野球人生の岐路
1998年のプロ野球セ・リーグで新人王を激しく争った2選手のことは記憶に新しい。当時いた職場には午後から電話が鳴り続け「ヨシノブ?ケンシン?どっちだ」と問い合わせが続いた▼一人は読売ジャイアンツの高橋由伸打撃コーチ兼外野手(40)。「天才的」「お手本のような打撃フォーム」と称され、打率はリーグ8位の3割ジャスト、19本塁打、75打点の成績を残したが、タイトルの軍配が上がったのは中日ドラゴンズの川上憲伸投手(40)だ▼成績は14勝6敗、防御2・57、奪三振124、完封数はリーグ最多タイの3。2人の直接対決は22打数1安打(1本塁打)と川上が押さえ込んだのが、新人王レースの勝因だったとされた▼高橋は今季限りで引退。原辰徳氏の後任として来季から監督として指揮を執る。一方で川上は故障が響き今季は1、2軍とも出番がなく「退団」を発表。引退では終わってしまう、現役続行を目指しての宣言だった▼けがからの復帰を果たすのは厳しいとみられるが、本人に悲壮感はないという。厳しさは高橋にもある。東京六大学野球時代からのライバルで「明暗」を付けられてきた2人。まだ続く野球人生は名の通り「伸びる」ことを祈る。(R)