函館市内の商業施設を訪れる外国人客への通訳業務サービス「タビヤク」が、金森赤レンガ倉庫で初めて行われた。タビヤクに登録するスタッフが巡回し、海外客の買い物をサポート。同倉庫を運営する金森商船(函館市末広町)は、入居する約45のテナントへの聞き取りを基に検討を進め、早ければ春の大型連休前後にも本格運用を始めたい考えだ。
タビヤクは、語学スキルの向上を目指す個人と、外国人客の需要取り込みを図る店舗を結び付け、双方のニーズを満たす事業。函館朝市で2月に始まり、同じく海外客が多く訪れる同倉庫でも展開できないか、タビヤク事務局と金森商船が調整を進め、19、20の両日にテスト実施した。
20日はタビヤクのスタッフ4人が、金森洋物館やBAYはこだてなど建物ごとに分かれて約2時間巡回。買い物中の外国人客の求めに応じ、英語で商品説明などをした。
タビヤクの松本慎平さん(31)は「朝市とは商品のカテゴリーが違うので知識を網羅するのは大変だが、自分が商品を説明して購入につながった客も多く、やりがいを感じる」と充実した表情を浮かべる。
金森洋物館でがま口や布小物などを並べる「にっぽんCHACHACHA函館ストア」の担当者は「外国語を表記したカードを活用して接客しているが、細かいことを聞かれて困る場合もある。通訳するスタッフがいるのは心強い」と話した。
巡回は26、27日も行う予定。スタッフのアドバイスで、商品のプライスカードの表記改善につながった店もあるといい、金森商船の飯田敏浩次長代理は「テナントの意見を聞いて検証し、増加する海外客の対応に生かしたい」とする。
タビヤクに登録するスタッフは現在約30人。今後はトラピスチヌ修道院に隣接する「市民の森」売店(上湯川町)にも配置される見込み。タビヤク事務局は「受け入れ施設を拡大し、タビヤクが活躍する場を増やしたい」としている。(山田大輔)