JR北海道は2月28日、道内の在来線特急で唯一「スーパー北斗」(函館-札幌)で行っていた客室乗務員による車内販売を廃止した。函館駅では高梨潤駅長らが横断幕を持ち乗客に長年の利用に感謝し、ホームでは鉄道ファンらが客室乗務員と記念撮影を行うなど、サービス終了を惜しんでいた。
車内販売は旧国鉄時代は日本食堂が行い、国鉄の分割・民営化後に一時中断したが、1997年にJR北海道が札幌-釧路間で開始。2001年度に約8億円を売り上げたが、コンビニエンスストアの普及などで利用客が減少。利用の少ない列車で取りやめて規模を縮小したが、17年度には1億5300万円の赤字となり、人手不足もあって全廃を決めた。スーパー北斗では一日3往復6本が残っていた。
札幌発列車では最後となったスーパー北斗10号で担当したJR北海道客室乗務員センターの浅井優さん(24)は「いよいよ最後の日という気持ちで臨んだが、あっという間の乗務だった。いつもより売り上げが多く、お客さまから感謝やねぎらいの言葉をいただいたのがうれしかった」と話した。札幌市の自営業、押野忠明さん(55)は「子どものころは親にジュースを買ってもらい、大人になったら長万部のかにめし弁当を買うのが楽しみだった。最近はコンビニや売店で買い物してから乗るなど、旅のスタイルが変わったかもしれないが、ワゴン販売の声がなくなるのは寂しい」と惜しんでいた。(山崎純一)