函館タクシー(岩塚晃一社長)は犯罪や不審事案から市民を守ろうと、同社が展開するタクシー85台に「110番協力タクシー」のステッカーを張っている。タクシーが持つ機動性や通信設備を活用し、緊急時に警察や消防へ素早く連絡できる有効な手段の一つとして注目が集まっている。
犯罪などから市民を守る取り組みは、2001年からタクシー業界全体が取り組んでおり、ステッカーによる啓発は当時も行っていた。近年では、ステッカーによる啓発は行っていなかったが、7月に警察庁が全国の自動車運送業者に対し、登下校時の子どもの安全確保への協力を求めたことや、函館市などで不審者の目撃情報が相次いでいることを受け、同社はあらためて緊急時のタクシーの有用性を知ってもらおうと、自社でステッカーを製作した。
ステッカーには大きな字で「110番協力タクシー」と書かれており、車体の左前フェンダー付近に張り付け、既に取り組みを周知している。児童へのつきまといなど不審事案が発生し救助を求められた際、関係機関への通報や、場合によっては保護した人を警察署や交番へ搬送し、安全を確保する手助けを行う。
同社の齋藤博之社長室長は、子どもの安全だけでなく徘徊(はいかい)老人の保護などでも力になれるとし「身の危険を感じたら無理をせずドライバーを頼ってほしい」と話している。(野口賢清)