道立工業技術センター(函館市桔梗町)研究開発部研究主幹の吉岡武也さん(53)が、内閣府の第14回産学官連携功労者表彰の経済産業大臣賞を受賞した。釧路市の食品機械メーカーが開発した小型漁船搭載用の製氷機について、魚の鮮度保持効果を科学的な見知から実証。水産物のブランド化につなげたことが評価され、吉岡さんは「賞を弾みに水産業の活性化に向けて役割を果たしたい」と意気込んでいる。
船上でシャーベット状の氷を製造する機械「海氷」は、釧路市のニッコーが2013年に開発。水揚げされた魚体を粒の細かい氷でまんべんなく急速冷却することで、長期間の鮮度保持に役立つのが特徴だ。
鮮度の数値化に向け、同社から協力依頼を受けた吉岡さんは、同センターの実験室でデータを集積。魚を急冷し、活(い)け締めすることでうまみ成分であるイノシン酸の値が向上することなどを実証した。
水産物の高付加価値化を実現し、海氷の昨年度までの売上総額は約2億5000万円に上る。同センターを運営する函館地域産業振興財団や同社などは、本年度から高鮮度の水産物を国内外に輸送するための実証実験を開始する予定で、生鮮魚の輸出拡大に期待が掛かる。
吉岡さんは「新技術の導入には産学官の枠を超えた取り組みが必要。多角的な議論を通し、攻めの水産業を目指したい」と話している。(山田大輔)