棒二森屋(函館市若松町、丸山篤司店長)は5月から函館市電に車体広告を掲出した。アネックスにオープンしたスイーツ店などを宣伝するためで、車体のフロント面には棒二のロゴマークと「森屋」の文字が入った。かつての系統板広告を想起させ、懐かしさも感じるデザインとなった。
市企業局交通部事業課によると、過去に使用していた市電の系統板には、番号や路線名の下に棒二のロゴが入っており、「広告枠ではなく、棒二森屋から寄贈を受けたものを使用していたようだ」とする。平成以降も一部車両で使用していたが、車体全体を広告化するカラー電車の導入とともに徐々に姿を消していったという。
本館7階催事場で開催中の函館市電の写真展(8日まで)では、戦後の主力車両500形などの車両に形状やデザインの異なるロゴ入り系統板を確認でき、文字通り〝市電の顔〟として定着していたことがうかがえる。同課は「棒二のマークにはインパクトがある。市民やファンには懐かしく思ってもらえるのでは」とする。
新しい車体広告は、北海道新幹線開業に合わせて、アネックスを改装してオープンした「はこだてスイーツ&カフェ」(1階)や「おみやげ処」(地階)をPRするデザインで、車両全体をピンクで統一した。3月末で別企業の広告契約が満了した812号車を使用し、末広がりの「8」と棒二のロゴにもみえる「12」を合わせた車両番号になった。
営業企画担当の芳木田俊一さんは「若いお客さまにも駅前に来ていただいて、楽しい時間を過ごしてもらいたい。観光客には当店でくつろいでもらったり、お土産の買い物に利用していただければ」としている。(今井正一)