北海道建設業信用保証(札幌)がまとめた、前払い金保証実績に基づく2015年度の公共工事動向によると、道南の請負金額は前年度比22・5%減の673億1300万円で、過去10年で最低の水準となった。北海道新幹線関連による特需が終了したことに加え、国や道からの発注工事が激減。先行きも好転材料が少なく、業界では不安の声が上がっている。
(山田大輔)
道南地区の減少は2年連続。渡島は前年度比26・3%減の506億6400万円、桧山は同7・7%減の166億4900万円だった。
道全体では同11・4%減の8451億2900万円。発注者別にみると、国が同12・4%減の2713億500万円、道が同8・9%減の1837億7300万円、市町村が同14・3%減の2508億6500万円となっている。
政府の景気対策として、14年度に大幅な前倒し発注が行われた反動もあり、道南全体の減少幅は、直近10年で最大となった。函館建設業協会の菅原徹副会長は「一般土木や港湾を中心に、道の発注分がかなり落ち込んだ」と話す。
政府は5日の閣議で、本年度予算のうち、公共事業などの8割にあたる10兆円規模を9月末までに前倒しして執行する方針を決めたが、市内の関係者は「急激に上向くことは期待できない。実際に工事が始まるのは大型連休後で、それまでに持ちこたえられない企業が出てくる恐れがある」と懸念する。
4月に入り、道南では体力を失った土木工事業2社の倒産が実際に発生しており、今後も増加する可能性をはらむ。
また、市内の建設業では人手不足も深刻な問題だ。函館公共職業安定所によると、建設関連の求人数は、求職者数の1・5倍を超える状態が続いている。同協会の福西秀和副会長は「技術者が足りない上に、作業員の高齢化も進んでいる。需要が増えた時に対応できるよう、業界全体で取り組まなければならない」としている。