函館周辺では1月7日にお正月飾りを片付けるが、15日を小正月として祝い、さまざまな行事をするところも多い。クリスマスやバレンタインデーが大きなイベントに成長しても、日本の風習はしっかり守られていることは喜ばしい。
年中行事は和洋折衷で器用にバランスをとっているようだ。食生活も同じである。ちゃぶ台からダイニングテーブルの生活に変わっても、食器や料理が突然和風から洋風になったわけではない。洋食器や洋風料理は徐々に一般家庭に取り入れられた。その一方で、手入れが難しく収納が面倒な和食器は次第に敬遠され、処分の対象になってきたが、最近、和洋折衷の食卓の演出が評価されている。古い和食器も洋食器と組み合わせることで新しい印象になり、若い人たちの関心も集めているようだ。
料理も「和をベースに洋のエッセンスを」という提案の店が昨今増えている。日本人はあれこれ取り混ぜるのが得意なのだろう。フュージョンとかハイブリッドという手法である。後継者の問題や拍車のかかる欧米化で危ぶまれる日本の伝統工芸や生活文化も、古今東西のさまざまな文化の良いところをうまく融合させれば、未来は明るいのではないか。
坂東玉三郎さんは白雪姫を歌舞伎にした。熊川哲也さんは蝶々夫人をバレエにした。冒険的な挑戦には常に賛否はあろうが、どの時代にも果敢な挑戦者がいたはずだ。古典と新作、そんなことを考える今年の小正月である。(生活デザイナー)